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No,138 スーパーブックスあおい書店春日店

文京区の区役所シビックセンターにほど近いところにあるこのお店、ホテルのあるビルの一階にあり、丸いかたちの壁が目を引いて、前々から気になっていたお店。親しい書店員の紹介があって、伺うことができました。
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100坪のお店は奥に長く、坪数以上の広さを感じる。
入口すぐ右手に「おしりたんてい」のワゴン、右手にはビンゴやルービックキューブのワゴン、その奥に文具。
周りは高いビルに囲まれており、一見ビジネス街のように見えるけど、家族向けの展開に見える。
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「ここは、平日はビジネスマンが主軸なんですが、休日は地場の家族連れが多いんですよ」
と、店長の並木さん。
タワーマンションもできて新しい住人も増えているが、昔からこの地に住み続ける人も多い。近くに東大もあり、文字通り文京区の文京区らしい環境のよさから離れられない人も多いのだろう。
だから、この店は書籍が強い。人文とか理工系がよく売れる。
「難しい数学の本が、こっちが引くくらいよく売れるんです」
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たとえば、「東大の入試問題を楽しむ」なんて本が、この規模の店としては異例の40~50冊もの売り上げを出す。東大入試を楽しめるレベルのお客さまがそれだけたくさんいるわけだ。まあ、東大の先生とかその教え子もこの店のお得意さまだから、当然と言えば当然だが。
「それから、語学の本もよく売れますね」
TOEICや英検の本など、奥の学習参考書のコーナーとは別に、手前の、理工系の本の前にわざわざ棚を作っている。
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そういうお客さまだから、文芸なども感度がいい。レジ前の、目立つところに海外文芸も平で置かれている。夏葉社や苦楽堂の本も、すべてではないが入れている。

「お客さまが知的好奇心が強いので、本屋としては手ごたえがある。夢のような環境です。ほかの店からここに来た書店員は、もうここから動きたくないと言うほどです(笑)」

かといって、難しい本ばかり並べられた本屋ではない。入口の「おしりたんてい」のワゴンが示すように、児童書や学習参考書もあるし、コミックもちゃんと置かれている。18禁の本もちゃんとコーナーを区切って並べられている。
「セレクトショップではない、ふつうの本屋、町の本屋でありたいんです」
かゆいところに手が届くというほどではないが、一通りのジャンルが置かれていて、あるものはちゃんとある、そんな本屋。20年くらい前には当たり前に町に存在した本屋が、並木さんは好きだと言う。
「そちらの方が、入りやすいじゃないですか。間口は広く浅くがいいと思うんですよ」
この店は、だからPOPもあまりおかれていない。なるべく本自身の力でお客の手に取ってもらえることが望ましいと思う。
「僕個人としては1種類の本を100冊売るより、100種類の本を一冊づつ売れることの方がいいと思うんです」
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と言っても、仕掛け販売を拒んでいるわけではない。話題になった文庫Xについても、かなり早い時期に仕掛けている。また、平凡社ライブラリーの全点フェアなども、営業の人と相談して独自に企画したりしている。
そして、そういうことをやると、客筋がいいこの店では跳ねるのだ。平凡社ライブラリー全点フェアの売上総点数は、当時ベストセラーだった「騎士団長殺し」の売り上げ点数を超えるほどだったという。
「そういうお客さまの要求にちゃんと応えられているのか、そこが悩ましいです。お客さまは優しい方が多いので、それに甘えてしまっているのではないか、と思うことも多いです」
と、あくまで謙虚な並木さん。しかし、訪れた日は30度を超える猛著の13時過ぎ。ふつうの店ならガラガラだと思うのだが、少なくない数のお客さまが入っていて、熱心に本を探しているのが印象的だった。
一見尖っていない、しかし、実は押えるべきところはちゃんと押えているお店だから、レベルの高いこの文京区で安定した売り上げを上げているのだろう。文京区は便利な場所だからこそ、本屋を選ぶこともできる。気に入らない店はパスすることもできる。ふだん使いにいいこのお店は、しっかり土地に根付いているのだ。

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