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海文堂閉店

海文堂書店閉店。
にわかには信じられなかった。
まさかそんな日が来るとは、夢にも思わなかった。

「ここでも、駄目か」
広島の書店員がそうつぶやいた。
これほどの店でも駄目だったら、ほかの本屋はどうなってしまうのだろう。
それは海文堂という書店を知っている誰もが思ったことだろう。

海文堂については以前ブログにも書いたことがある。

http://aonokei.cocolog-nifty.com/syoten/2010/06/no80-1340.html

ほんとに素晴らしい書店だ。
魅力的な棚作り、情報発信力、個性的なフェア、そして地元との深いつながり。
どれをとっても、群を抜いている。町の本屋(チェーン店ではなく、インディペンデント系という意味で)の最高峰だと思う。
それだけじゃない、99年続いた老舗書店として、ここはよく紹介されている。発売されたばかりの夏葉社の「本屋図鑑」のような書店紹介本や、最近やたら多い雑誌の本屋特集はもちろん、お洒落系の神戸のガイドブックにまで載っている店。
いわば神戸の誇り、元町の顔なのだ。実のところ、神戸の書店と聞いて、ジュンク堂よりも海文堂を思い浮かべる人のほうが多いのではないだろうか。

ともあれ、閉店までにもう一度お店を見ておきたくて、9月上旬、無理やり用を作ってここを訪ねた。
もしかしたら、棚がすかすかなんじゃないか、と危惧していたが、前と変わらぬ充実ぶりだった。スタッフも、いつもどおりの接客をしている。
変わったのは、客の数。都心の店のような混雑だ。私同様、閉店を知って、最後にもう一度、と思った人たちが詰め掛けたのだろう。

実際、知り合いの書店員たちが何人もここを訪ねている。他店ウオッチが好きな人もそうでない人も。初めての人もそうでない人も。閉店前にひと目この棚を見ようと、東京から名古屋から広島から福岡から、わざわざ訪ねて行っている。
それだけの価値のある本屋だったのだ。
私は平野さんに挨拶し、買いそびれていた「本屋の眼」を買ってサインを入れてもらった。
実は、前に訪問してから後、平野さんは自作のフリーペーパーを毎週ファックスで送ってくれるようになった。それに、雑誌「ほんまに」では、震災後の書店訪問の記事を書かせてもらってもいる。そんなわけで、平野さんにお目にかかったのは二度目だが、それ以上の親しみを感じていた。
「これからどうなさるのですか?」
聞きたかったが、言葉を呑みこんだ。決まっていたとしても、まだ今後が決まっていないかもしれないほかのスタッフの前では言いにくいし、決まっていなかったらさらに気まずい。
サインをもらうことだけが、かろうじて私の示せる平野さんへの個人的な好意だった。

そして、昨日、閉店を迎えた。ネットに閉店の様子がアップされていた。
最後の客が店を出ると、閉店を惜しむ数百人のお客の前で、店長が挨拶をされていた。
「ネットではなく、本屋で本を買って下さい。そうでないとリアル書店がなくなってしまうかもしれません」
そうなのだ。閉店してからでは遅いのだ。
好きな店があったら、そこをちゃんと利用する。買えるものはそこで必ず買う。
お客の側も意識的にそう努力しないと、もはや書店というものを守れない時代なのかもしれない。

私は近所の本屋に行って、やみくもに5000円近く本を買い込んだ。
そうすることだけが、海文堂という類い稀な書店に関わってきた人たちに対する、わずかばかりのはなむけのような気がした。

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コメント

この記事に本当にコメントが入っていないの?と思い2014年10月に書いています。

私は「書店ガール」の大ファンです。周りにひろめてもいます。
それは元気をもらえるからとあわせ、本好きを1人でも作りたいから(^^)。

私が神戸に転勤してから今は6,7年たったでしょうか。転勤から数年経ち、よく行くようになった新長田の料理屋さんで、「ききさんぐらい本好きなら、元町商店街の海文堂はしってますよね」といわれて知らなくてショックでした。
慌てて行ってみて、とてもとても気に入りました。うれしくなるお店でした。

そして、そう時間もたたないうちに「閉店」のお話を聞きました。あのお店が!?と思いました。
でも正直いえば、神戸での反響は本好きの人以外はあまり大きくなかったのではないかな。実際、会社で話しても「?」という感じでしたから。いまの本屋さんの立ち位置の難しさがそこにあるように思いました。自分が子供のころは、知的なものが集積されたのが本屋さんって印象で、いくだけでワクワクするところでしたけどね。

海文堂さんの立地していた、商店街にいい具合に人が流れていないのかな。ほかにいい食器やさんが閉店とかしましたし。

ずっと神戸に住んでいたわけではないので、昔の「人の流れ」が見えないですが、神戸という大きな街なのに今のあの「人の流れ」から考えて、商店街自体も少々不安でもあります。

いいお店がなくなったあとに、惜しまれるのはつらいな。なくなったら復活できないのにな。
あんないいお店なかなか無いのにな。出張先のいろんな本屋さんでも。

1年、閉店から過ぎてから、このページにアクセスして、思ったことつらつら書きました。

失礼しました。

投稿: ききまさゆき | 2014年10月 4日 (土) 18時35分

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