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No,117 紀伊國屋書店仙台店 再び

さて、仙台最後のお店がここ紀伊國屋仙台店。震災での被害がひどかった店として噂に伝P5040211 え聞いていた。その後の状況が気になっていた店のひとつである。

しかし、訪問した6月26日には、紀伊國屋書店の入っているモールというショッピングビルも通常営業しており、お客様も普通に出入りしていた。震災の跡形もない。ほっとして、紀伊國屋のある三階に行き、以前にもお会いしている山口晋作さんを呼び出してもらう。山口さんは私の顔を見るといきなり、
「大沢軍団にお会いになったそうですね。たいへんでしたね」
と言われて、ちょっとびびった。ツイッターには書いたけど、ほとんど反響がなかったので、みP5040199 んなにスルーされたと思ってたんだよ。その事実、忘れていたんですけどね。
で、大沢さんは、もちろんこの店も訪問済み。当然と言えば、当然か。谷川流さんも、やはり訪れたそうです(右は、控え室にあった谷川さんのサイン)。

で、まず震災の時の状況を伺った。
もともとこの地区は地盤が緩かったところに地下鉄を通したため、震災の被害も大きかったのだそうだ。震災当日、山口さんは非番だったが、あまりにも大きな揺れだったので、その日のうちにお店の方に駆けつけたところ、ビルには入れず、スタッフは駐車場に集まっていて、なかには泣いている人もいた。本棚が倒れたため、床に散乱。3日後には、棚から崩れた本の山に、水道管から漏れた水が染み、一千冊ダメになったという。
その後はビルの安全管理などの問題で、立ち入ることができなくなった。それで、しばらく自宅待機になるのだが、当初はキャッシュディスペンサーも止まっており、電子マネーも使えないため、現金が無くて困ったという。それから、店が開いていないので、食料品を手に入れるのもたいへんだった。
「僕の場合はツイッターとかで情報を得ることができましたが、お年寄りなど、情報を得る手P5040205 段を持たない方はたいへんでした」
それから、ガスがなかなか復旧しなかったため風呂に入ることができなかった。電気ケトルでお湯を沸かして身体を洗ったりしたそうだが、右顎のところにアレルギーが出来、それがなかなか治らずに困ったのだそうだ。
「でもまあ、店の方に物資とか届きましたし、そんなにたいへんではなかったですよ」
山口さんの場合は、単身でこの地に赴任してきたという身軽さもあり、親類が被災地にいないこともあって深刻にならずにすんだ。それに、やはり紀伊國屋という大きな組織にいることの安心感もあったと思う。これで店が潰れるかもしれないというような心配とは無縁だっただろうし、ほかの支店からの援助も期待できた。奥の控え室には、全国の紀伊國屋書店から送られてきたP5040198 この店への応援メッセージが書かれた色紙があった。壮観だった。これだけの仲間がいればなんとかなる、そう思わせるような光景だ。
「当初は再開の目処が立たず、撤退するんじゃないか、あるいは再開しても7月とか8月になるんじゃないか、と言われていました。そうなった時、今まで働いてくれていたアルバイトの方たちが残ってくれるのか、あるいは、新しい人を雇って一からやり直さなきゃいけないんじゃないかということが心配でした。結果的には、辞める人がいなかったので助かりましたが」
この店は、結局、震災後1ヶ月以上休業を強いられる。再オープンしたのは4月28日、ゴールデンウィークに何とか間に合わせた形だ。オープン直後はすごいお客で、再開が待たれていたことを実感する。その後、売り上げはずっと30%増しの状況が続いている。

ところで、山口さんは震災後、「何を売るか」ということについて、以前より考えるようになったという。P5040208
たとえば小説とか学習参考書にも良し悪しはある。だが、それらは悪くても実害はあまりない。しかし、放射能関係はそうではない。今すぐ命に関わるということはなくても、将来的にどうなのか。間違ったことが書かれているものを置いてもいいのだろうか。
一方で、やみくもに不安を煽るような雑誌を置くことも抵抗がある。小さい子供などに、いたずらに恐怖心を与えかねない。
「だから、置く本を選ぶべきかと思うのですよ。だけど、それを選べる高い見識を持った人ばかりではないですしね」P5040210
なるほどな、と思った。商売としては、売れればいいと考えるべきかもしれない。お客さんが欲しがるものを売る。それが書店の役割だ、という考え方もあるだろう。だが、これだけたくさんの本が売られている昨今、置くべきでない本は置かない、という選択もある。もちろん、小さなお店ですでにやっているところはあるが、紀伊國屋書店ほどの店がそれをやるというのは、書店としての見識を打ち出すことになるかもしれない。
そんなことを考えさせられた。

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