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NO.113 あゆみBOOKS 仙台店

さて、ここも某営業マン(リラ・パークこなりの推薦者とは別の方)が強力にお薦めしてくださっP5030143_2 た店。実は紹介されるまでもなく、昨年仙台を訪れた時、ここを訪問している。あゆみBOOKSは昔住んでいた家の近くにもあり、センスのいい店という印象がある。ここ仙台店も、外観からしてお洒落な感じだ。ここもブログにぜひ上げたかったのだが、その時は店長さんがいらっしゃらなかったのでNGだったのである。
だが、今回は某営業マンの口利きもあり、店長の二階堂健二さんにお話を伺うことができた。

実は二階堂さん、つい半年前まで五反田店の店長をされていた。赴任したばかりでまだ地域性がわからず、手探りでいろいろ仕掛けているところに、あの震災。
「震災があったのは、銀行に行っていたのですが、急にカタカタという音がして、ビル全体がP5030147_2 重機に振られているような、尋常じゃない揺れがありました。僕はビルの入り口のところに居て、自動ドアが閉まらないように手で押さえていました。揺れが収まると人がいたるところに出ていて、車も止まって、道が通れない状態になっていました」
それでもなんとかお店に辿り着くと、棚は一本も倒れてはいなかったが、本は半分以上が床に落ちていた。電気も止まっているし、その日はそのままシャッターを閉めた。二階堂さん自身も、その晩は避難所で一夜を明かし、翌日帰宅したという。
しかし、3日後には店の方は電気が通ったので片付けをはじめ、15日には営業を再開した(系列の仙台青葉店も同時期に営業再開。だが、昨年12月にオープンしたばかりの仙台一番町店は、今に至るも営業再開していない)。
「ですが、オープンして最初の2,3日はお客様は全然いらっしゃいませんでした」
たまに地図を探しにくるお客さんがいるくらい。オフィス街の傍にあるこのお店、オフィスが閉P5030146_2 まっているとお客さんもいない。それに近くの店は全部閉まっていたし、電話や電気も通じてない地域も多かったから、ここが開いていること自体、伝わっていなかったらしい。
その状況が変わったのは、傍にあるダイエー仙台が営業再開し、品物が潤沢にあることが伝わって、長い長い行列が出来るようになってから。
被災しなかった我々には想像がつかないが、震災直後は停電や在庫がないなどの原因で、仙台のほとんどの店が営業できなかった。だから、人々は食料を求めてあちこち探し回っていたのである。
「その先の公園のところまでずっと行列ができていたんです」
そのお客さんが、この店にも流れてきた。近隣で開いている店はここだけだったので、目立ったということもあるし、日常の買い物ができることにお客さんがほっとしたということもあったのではないだろうか。
そして、そこからはすごい混雑になった。
「一番、聞かれたのは『少年ジャンプ』、それに『コロコロコミック』といった子供のコミックです。P5030145_2 女の子ものでは『チャオ』とか」
すぐに在庫が足りなくなるが、休んでいる一番町の在庫を持ってきたり、出版社から直送してもらったり、宅急便が復旧してからはそれで送ってもらったりして対応したという。
その後は、震災関係の本が動いた。500円ぐらいのグラフ誌それに地元の河北新報社の写真集がやはり売れた。ほかにも、コミック、文庫、あらゆる娯楽系の本が売れた。ことに時代小説は、毎日補充が必要なほどだったという。

郊外の書店は停電などが続き、なかなかオープンできなかったので、この店の混雑状態は震災後2ヶ月ほどは続いた。最近になって、ようやく店も落ち着きを取り戻してきたという。私が訪れた日も、店はほどよく混雑し、平台や棚にも、工夫を凝らした展示がなされている。1年ほど前に訪れた時と、あまり変わりがないように思える。
「だけど、車で10分も行けば、津波で何もなくなったところに出ますから。この辺を歩いている人でも、近親者を亡くした方はたくさんいますし、レストランや喫茶店でも、そんな会話が聞こえてきたりします」
おそらく、スタッフにもそういう方がいるのだろう。よそから来た二階堂さんにはそうした被害はなく、だからうかつに震災のことを語ることはできないと感じているようだった。私に話しをするのも辺りに気を遣い、小声で話されていた。

一見、平穏に見える仙台。実はその前日、佐藤店長と駅近辺で食事できる店を探した。閉P5030148_2 まっている店はほとんどなく、いいなと思う店は混雑して入れなかった。お客さんは賑やかに酒を楽しみ、仲間と談笑しているようだった。この日行われていた一箱古本市も活況だったし、アーケードのある商店街ではコーラスグループが歌を歌っていたりして賑やかだった。
すっかり元通りなんだな、と思ったのは他所者の錯覚で、目を凝らせばあちこちの建物にひび割れや落下の後が残っているし、何よりまだ人々の心には震災の記憶が生々しく残っているのだ。
だけど、だからこそ「仙台はもはや被災地ではない」と言いたくなるのだろう。ともすれば、被災の生々しい痛みに気持ちが引き裂かれそうになる。だけど、そこに耽溺していても何も始まらない。だからこそ、意地を張っても、大丈夫だと他人にも自分にも言い聞かせる。
「仙台人の誇りに賭けて、もはや被災地とは言わせない」
ジュンク堂仙台ロフト店の山口さんの言葉を、私はもう一度思い出していた。

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