« No.109 さわや書店フェザン店 再び | トップページ | NO,111 ブックスミヤギ再び »

No,110 ジュンク堂仙台ロフト店 再び

そして、仙台。震災の被害自体は、盛岡よりも大きかったところ。一見、震災以前と変わらなP5040213 い光景に見られるが、駅を出てすぐ気づくのは、ロータリーに面したところにあったビルがひとつなくなっている。いや、実はあるのだが、前より低くなって、工事中のシートが掛かっている。
そこに目が行くのは、そここそ、ジュンク堂仙台店のあったビルだから。私が仙台で最初に訪れた場所だ。あえて天井の骨組みを見せるという造りのビルで、剥き出しの梁の部分にぴあEXのポスターが200枚以上も貼られていたのが印象に残っている。震災当日の様子は、「河北新報」の報道写真集にも載っているが、天井や床が激しく破損し、「外が見えていた」状態だったそうだ。震災後、ビルの一部が取り壊され、残った部分の改築が進んでいるらしい。ジュンク堂仙台店は別の場所にオープンすることが決まった、と噂に聞いている。

さて、ロフト店。実はこの日は佐藤ジュンコさんにお会いする予定だった。こちらも、某版元の営業さんが、仙台に行くならこの方にぜひ会うべきです、と強力推薦されたのであった。だが、残念ながら佐藤さんは都合で来られず(翌日のブックブック仙台でお会いすることを約束し)、かわりに山口いずみさんが対応してくださることになった。
でも、それはそれでOK。山口さんには以前お会いして、密かなシンパシーを感じている。私P5020098 がもし書店員だとしたら、たぶん山口さんみたいな書店員だったんじゃないかと思うのだ。少なくとも、フリーペーパーをがんがん作り、イベントを積極的に開催するカリスマ書店員にはなれなかっただろう。そんなにマメでも努力家でもないし、
「本は個人的な趣味だから」
と、好きな本でもPOPをつけずにこっそり平積みにするタイプだったんじゃないかな。まあ、へそ曲がりなんです。
でまあ、山口さんはそういうタイプ。いえ、へそ曲がりというのではなく、東北人らしいシャイな方で、「いいじゃん、みんな好きな本読めば」みたいな鷹揚なところが、実は好きだったりする。

さて、ビル自体が損壊し、再開の目処が立たなかった仙台店とは異なり、ロフト店はすでに営業を再開。以前来た時と同じように、いやそれ以上にお客が多く、活気もある。
「うちはどこと比べてもマシな方だと思います。こうして店は再会してるし、従業員で浸水の被害に遭った者はいますが、亡くなっている者はいないし」
といっても、震災後、全員の無事が確認されるまで1,2週間掛かった。被害の大きかった栗原の方に住む従業員にはメールも電話も繋がらず、みんなやきもきしたそうだ。
で、お店の方は、ビルの点検やら停電やらで、こちらは4月4日になってようやく営業が再開された。
「オープン直後は、お客様がすごかったですね。閉まっている仙台店や、ほかの地区、とくにP5020099 海沿いの方からもお客様がいらしていました」
売れたのはやはり地図。そして、配本が止まっていた間の雑誌についての問い合わせをすごく受けた、ということだそうだ。
震災関係の本に関しては、やはり地元河北新報の出したものが強く、1400冊以上も売れた。ほかにもいろんな震災関係の書籍が出ているが、
「なかには便乗商法みたいなものもあって嫌ですね。無責任に危機感を煽るものとか。そういうものはできれば売りたくない。実は、震災だけの特化したコーナーも作りたくないんです」
どこの書店に聞いても、震災関係の記録本はよく動いている。「出せばなんでも売れる」という書店もあった。地震特需とばかりに、やっつけ仕事で出された本も少なからずあっただろう。
そこに怒りすら感じているらしい山口さんは、やはり被災の当事者だからだろう、と私は思う。山口さん自身の自宅は被災の酷かった地区ではないが、それでも電気が2,3日、水道が2~3週間、ガスがまる一ヶ月、通らなかったという。我々東京の人間から見れば、りっぱな被災者ということになる。しかし、本人曰く、
「もはや仙台は被災地じゃないし、仙台市民は被災者だと思っていませんよ」
と、きっぱりした口調で言う。
海沿いに比べれば、仙台の被害はたいしたことない。それに3ヶ月経った今はもう、街は正常P5020100_2 に戻りつつある。
海沿いの方は、とくに役場が流されてしまったところはまだまだ復興に手間取っている。そちらをなんとかしなければ。
友人や親戚がそういう場所にもいるからこそ、被災地への想いも深い。
「だから見舞金なんていらないし、そんなお金があったら、どうぞ津波の酷かった方にまわしてください、って思うんです」

この山口さんのこの考え方、どっかで聞いたことがあるような、と思ってよくよく考えたら、以前、私自身が書いたブログだった。
http://aonokei.cocolog-nifty.com/syoten/2011/03/post-2ca8.html
やっぱり山口さんの考え方に、ちょっと似てるわ>自分。

さらに山口さんは、
「仙台市民のプライドに掛けて、被災地だといいたくない」
と言う。それもちょっとわかる。
同情されるというのはどこか居心地が悪い。される方はする方より立場が下、という感じになP5020101 る。相手は善意で心配してくれるし、上に立とうと思って言ってくれるわけじゃない。それがわかっていても、気持ちは複雑だ。できれば同情されるような立場でいたくない。
それは、病気が治って学校や会社に久しぶりに行った時、「大丈夫なの?」と言われたときの気分を思い出せば想像つくんじゃないだろうか。

もちろんこれは山口さんの感じ方で、仙台の人被災地の人みんながそう思っているわけじゃないだろうが、確実にこういう気分もあると思う。誇り高い人であれば、なおさら。
それに、よかれとこちらが思ってやっていることでも、相手にとってはありがた迷惑ということもあるだろう。相手は支援を受ける立場だからこそ、それを口に出して言えないこともある。
それを忘れちゃいけないな、と思う。
実際、私がこうして訪ねてくることも、相手にとっては迷惑かもしれない。震災があったからってのこのこ店にやってきて、その時の辛かった話をしろと言われても。そんな困惑が山口さんの中にあるのかもしれない。
私はずいぶん無神経なことをやっているのかもしれない。

ごめん、山口さん。でも、そういうことを知るために、私はここに来たんだよ。
きれいごとでない、現地の人たちの想いや被災地の現状を知るために。
それを知って書くことが、私の仕事だから。
レジが混んできたのでそちらに戻った山口さんの背中に、私はこっそり謝った。

そうして、その日の午後、被災地の真っ只中、東松島図書館へと向かった。

|

« No.109 さわや書店フェザン店 再び | トップページ | NO,111 ブックスミヤギ再び »

東北の書店」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: No,110 ジュンク堂仙台ロフト店 再び:

« No.109 さわや書店フェザン店 再び | トップページ | NO,111 ブックスミヤギ再び »