« 2010年6月 | トップページ | 2010年9月 »

2010年7月

Book・Laのこと

私の営業活動をツイッターで熱心にフォローしてくださった方のひとりに、1万年堂の営業の出口さんという方がいる。担当地区が九州で、大学が愛知だったということもあって、私に関心を持ってくださったらしい。取材ノートを私が無くしたとき、わざわざ西鉄の駅に行って、遺失物の中に届いていないか、確認をしてくださったりもしている。とても親切な方だ。
この出口さんの薦めで、3ヶ月ほど前、私はBook・Laというソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に入会した。すでにSNSはミクシィに入っているのでどうかな、と思ったが、こちらは地方の書店やそのお客さんが中心になっているという(立ち上げたのは、宮崎の金海堂の中村社長)。苦境にある地方書店を活性化させるための何かができないか、ということではじめた試みだというのだ。
その心意気がいい、と思った。時代はSNSよりもツイッターに移っているとはいえ、固定的な関係をネットで深めるには、SNSはまだまだ有効な手段だろう。それに、業界ウオッチャーとしては、地方の書店さんのダイレクトな声というのも聞きたいということもあった。それで入会することにした。

Photo_4 実際のBook・Laは、まだまだ小さな組織だ。だが、それゆえに結びつきは強い。入ったとたん、広島のウィー東城店の佐藤さんから連絡をもらった。こんな無名の作家でも、作家が参加したことをたいへん喜んでくださった。そして、そちらのお店で私の本のフェアをしてくださることになった。同様の申し出を、佐賀の積文館書店伊万里店の方からもいただいた(写真上がウィー東城店の写真。下は積文館伊万里店の写真)。
なんというか、SNSに入会しただけで親近感を持っていただき、拙著を紹介していただける。ありがたいことである。ことに、伊万里というのは親の出身地であり、いとこも住んでいる。自分自身も何度も訪れている。縁の深い場所だ。そこで私のフェアをやってくださるというのは、感慨深いものがある。それだけでも入ってよかった、と思ったくらいだ。

Photo_3 だから、というわけではないが、この組織、もっと広がるといい、と思う。とくに、ナショナルチェーンでない地方書店の方がもっと増えれば、できることはいろいろ広がるのではないか、と思う。ウィー東城の佐藤さんはBook・La参加書店オリジナルのフェアや共通帯を作ることを提案されている。地方店舗ならではのサイドビジネスを考えたりもしている。まだアイデア段階で、実現には至っていないが、そういう試みがいろいろ増えると、書店ももっと面白くなるだろう。
SNSなので、気軽にチェックはできないが、もし参加してみたいという方があれば、私に連絡ください。とくに地方で頑張っている書店さん、あるいは版元の人や作家も多いに喜ばれます。こちらにコメントいただくか(承認性なので非公開にできます)、ツイッターの私のアカウント@aonokeiに連絡いただければ、仲介させていただきます。
よろしくお願いします。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

高倉美恵さんとブックオカの人たち

101軒目は藤沢のジュンク堂。なぜか大崎梢さんといっしょに訪問しました。とても楽しかった。
だが、それを書く前に、今まで触れられなかったことをいくつか書いておきたい。
まずは、高倉美恵さんと福岡の書店員さんたちのこと。福岡在住の元書店員の高倉さんと知り合ったのは、実はミクシィ上であった。オリオン書房の白川さんとは以前からマイミクだったのだが、彼の日記にコメントを書き込んだところ、高倉さんから「もしかして碧野圭さんご本人ですか?」とメッセージをいただいた。高倉さんは拙著「ブックストア・ウオーズ」を読んでくださっていて、その感想をブログに上げてくださっていたのだ。
http://blog.goo.ne.jp/takakura777mie/e/84bb66a32fde694115254f642435bab6
「ブックストア・ウオーズ」は文庫にもなっていない本だが、書店員ものということで、私の著書の中ではこれが一番書店員さんに印象深いらしい。私のことを知っている書店員さんは、たいてい「ブックストア・ウオーズ」の著者として私を認識してくださっていた。
で、高倉さんのブログを拝読して、とても嬉しい気持ちになった。こういうふうに読んで下さったら著者として本望である。
そんなわけで、高倉さんとマイミクになり、私の中では勝手に高倉さんは福岡の友達になっていた。だから、西日本営業を考えたとき、真っ先に高倉さんのいる福岡、と思っていたし、高倉さんに聞けば、福岡で周るべき書店も教えてもらえるだろう、と勝手に思い込んでいた。

それで、連絡を取ると、期待にたがわず、高倉さんは石風社の編集者の藤村興晴さんと協力して、完璧な書店周りリストを作ってくださった。おまけに福岡の二日目の晩には、高倉さんが幹事になって、呑み会を開いてくださることにもなった。
行くまでに高倉さんにメールで何度も連絡を取り、いろいろ質問したりして万全な体制を整えたつもりだった。呑み会があるのは、西日本営業の最後の晩だったので、素晴らしい締めになるだろう、と思っていた。
実際、その宴会当日に取材ノートを無くす、という失態がなければ、福岡営業は完璧なものになっただろう。福岡滞在中に、100軒目の営業を終えられたかもしれない。だけど、ノートを無くしたことで、その計画がぱあになった。動揺して、それどころではなくなったのだ。あとで数えたら、無くしたノートに記録していたのは神戸から福岡初日までの16軒分。かなりな分量である。それを記憶で補完できるかどうか、この時点では定かではなかったし、あまり自信もなかった。

で、まあ、宴会当日の私は、動揺しまくっていた。
当日来てくださったのは高倉さん、石風社の藤村さんのほか、書肆侃侃房の井上豊明さん、丸善の徳永さんと熊谷由美さん、りーぶる天神の本田賢吾さん。みなさん、ブックオカのメンバー。ブックオカというのは、福岡の書店が中心になって行う本のイベント。2006年から開催されているというから、最近増えてきたこの手のイベントでも、先駆けの部類に入るだろう。福岡人はお祭り好きだし、こういうイベントも祭り感覚で楽しんでいるんだろう。私の訪問も、そんなお祭りの一環で捕らえてくださったのかもしれない、などと最初は思っていた。
宴会は柳橋もつ元。もつ鍋ではなく、もつ焼き。というと、なんというか、煙がもくもくと立ち込める店内におやじがくだを巻く、そんなイメージだが、この店はいたって上品。古民家風な広い店内、お座敷に各テーブルがゆったりとおかれている。もつ焼きも、かつて食べたことのない上品さ。柔らかい。うまい。酒はもちろん焼酎。水割り。くいくいいけます。おまけに、お酌をしてくださった藤村さん(だと思う。井上さんかもしれない)が、注ぎ上手というか、こちらのコップの酒量が半分くらいまで減るとすかさず注ぎ足してくださる。それを押さえない自分も自分だが。まあ、ノートを無くしたショックで、最初からペースを見失っていたんですね。

さらに、何気なく丸善の徳永さんが口にされた話が私を動揺させた。実は西日本営業中、ツイッターで何かとフォローしてくださった偕成社の営業の藤坂さんという方がいる。この方はかつて丸善の書店員をされていて、徳永さんとはかつて上司部下の関係にあった。それで、その宴会の前に藤坂さんから「碧野さんがショックを受けているみたいだから、フォローしてあげて」という内容のメールが徳永さんに届いたそうな。
それを聞いて、すごく驚いた。ツイッターだけの付き合いなので、藤坂さんがどういう人かはまったくしらない。まして、徳永さんと繋がりがあるなんて思いもしなかった。
取材ノートを無くすなんてことは、しょせん私個人の失態。それなのに、藤坂さんがそんなふうに気にしてくださったなんて。ほかにもツイッター上でいろいろメッセージを下さったり、なかにはノートを失くしたと思しき駅の駅員さんにわざわざ問い合わせてくださった方もいた。今日の宴会にみなさんが集まってくださったのも、たぶん、そのことに対する気遣いもあったんだな。
みなさん、どうしてそんなに優しいのだろう。
私、ある意味苦労人(笑)なので、打たれ強いのですけど、逆に優しくされることにはあまり慣れていない。悪意には毅然として立ち向かうけれど、優しさにはどうしたらいいかわからない。
それでもう、呑むしかない。で、呑みました。

あんなに呑んだのは、たぶん、5年前に会社を辞めてからは初めて。会社員時代には自棄酒をしたたかに呑むこともよくありましたが、この日は、自棄酒ではなく、とても気持ちよいお酒。なので、よけい回りました。
でまあ、この日したたかに呑んでしまったことが、翌日の下痢大腸炎の引き鉄になったのですけどね。
自業自得。
で、結局、翌日はろくに営業できず、アポをとっていたジュンク堂にもお断りの電話を入れて、福岡にダメ著者伝説だけ残して帰ることになったのでした。
無念。

でも、福岡に来られたことはとてもよかった。営業した店は少なかったけど、どれも印象的だったし、なにより高倉さんやブックオカの人たちに会えたことがよかった。実は丸善の福岡ビル店は閉店が決まっており、徳永さんも熊谷さんも、実はたいへんな状況になるのだが、そんなことは微塵も感じさせない明るさだった(このほぼ1ヵ月後に閉店)。その明るさにこちらも励まされた。たぶん、ノートを無くしたショックからすんなり立ち直ることが出来たのは、この呑み会のおかげだと思う。これがなかったら、いつまでもうじうじそれを引きずって落ち込んでいただろうと思う。思い切り呑んで、いろいろ吐き出せたこと、それに付き合ってくださった人たちがいたことで、とても救われた。
ありがとう、ブックオカの人たち。高倉さん。

なので、そのうち福岡を再訪せねば、と思っている。
ブックオカ、行こうかな。行きたいな。
あんな迷惑な著者はもうこりごり、と福岡の人たちが思っていなければ、この秋にでもまた行こう思っているのである。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2010年6月 | トップページ | 2010年9月 »