NO.82 金正堂(広島市中区)
さて、紀伊國屋の後には廣文館の藤森さんのアポを取っていたのだが、私がちょっと出遅れたために、藤森さんは休憩に出られてしまった。心優しい紀伊國屋の藤井さんが、本通商店街の入り口まで案内してくださったのに、残念なことである。
で、藤森さんがお店に戻られるまでに、途中で見掛けたこの金正堂に営業に行ってみることにする。なにせ広島・本通といえば、昔から一番の繁華街(この商店街だけで専門の情報誌が出ているくらいだ)、そこにいかにも老舗という顔で鎮座しているこのお店、寄らないわけにはいかないだろう。
お店を入って感じるのは、やはり昔ながらの書店の匂い。なんだろう、年長者向けの書籍や雑誌が充実しているとか、ジャンルの案内が大きな文字で見やすいようになっているとか、年長者に優しいというだけではない、ずっとここで商売していたお店だけが持つ独特の雰囲気。書店というより本屋さん、という庶民性と、年月に鍛えられた店だけが持つ重厚さとを併せ持った独特の存在感。この前に訪れた仙台の金港堂や神戸の海文堂にも、どこか通じるものがあった。
応対してくださったのは、森田睦成さん。「経営者が不在なので」と、やんわり取材はNGだったが、自分で見た感想をブログに上げることはかまわない、とおっしゃってくださった。
1階は新刊と文庫の売り場。写真でわかるように、天井から版元別の看板が見やすいように飾られていたり、佐伯泰英さんのコーナーがすぐわかるようになっていたり。そして、階段のすぐ横には、地元本コーナーが。やはり老舗、ちゃんと目立つところにありました。そして原爆関係の書籍も。そこを熱心に見ているお客さんもいるのは、この店らしい。
勧められて2階に上がってみると、そこでは呉の海事歴史博物館、大和ミュージアムのショップコーナーがあった。神戸の海文堂にも海洋資料の展示があったが、あちらは海洋関係の学術書を出している出版社の系列だけに専門性が高かったが、こちらはぐっと庶民的。海軍の衣装の展示や、山本五十六のお言葉の色紙、海軍カレーや海軍クッキー、はては宇宙戦艦ヤマトのテープまで販売している。これを見ているだけでも楽しい。自分でも海軍カレーが欲しくなった。でも、次の営業があったので、買うのは遠慮したが。
そういえば、ここにはちゃんと「銀盤のトレース」が棚ざしでありました。店に入ってすぐ左手のいい場所に。版元の営業さんから頼まれたのだそうです。まさかここにあるとは思わなかったので、ちょっと嬉しくなりました。
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