No.67 仙台八文字屋書店(仙台市泉区)
さて、八文字屋SELVA店に行くためにネットで調べていたら、系列の仙台八文字屋書店もすぐ近くに(バスで15分くらい?)あることを発見。しかも、そのお向かいにはアイスリンク仙台があるではないか。アイスリンク仙台は、荒川静香、本田武史といった日本フィギュア史上に残る名選手のかつてのホームリンク。現在では、羽生結弦くんや鈴木真梨ちゃんといった若手の有望選手が滑っている。まあ、フィギュアスケートの世界では、東日本きっての名門リンクです。その目の前に、立派な書店があるなんて。
これは、行けということですね。仙台八文字屋に行って、ついでにアイスリンク仙台も見て来いということですね。
というわけで、急遽、こちらも営業予定に加える。八文字屋書店SELVA店の佐藤さんに、こちらの文芸担当者の名前を聞いておく。
実は営業ではこれがとても大事。飛び込み営業でも「○○さんのご紹介で」という一言があるかないかでは大違い。そりゃ、いきなり著者が来ても何これ、と思うよね。本物かもわからないし(なので、写真つきの新聞の切り抜きを必ず持参することにしている)。
で、佐藤さんの名前を出したおかげで、文芸担当の北島麻里さんにも、歓迎していただけました。
こちら、400坪くらいある郊外店。ファミリー、独身、老若男女まんべんなくご来店されるらしい。なので品揃えも偏らずに、ということを心掛けておられるそうだが。近隣に専門書を置いている店がないので、人文、社会、民族などは深めな品揃えにしているのだそうだ。文芸で、
「最近『本の雑誌』をちょっと増やしました」
と、おっしゃる。まあ「本の雑誌」が置いてあること自体、郊外店では珍しいことじゃないかな。こちらのレベルの高さがうかがえる。この店ならではのヒットとしては、
「後に全国的なヒットになりましたけど『食堂かたつむり』は多めに仕入れて、結構、売れました。ほかに印象に残っているのは、「あの谷のむこうに」(村田久・つり人社)。釣りを中心に、自然とか人との出会いとかを描いたエッセイです。それから、『こびとづかん』(長崎出版)のシリーズがうちではやたら売れました。うちの児童書担当がいち早く仕入れたんですよ。小人との出会いを描いた絵本なんですけど、仙台の学校で流行っているらしくて。中身を見ると、キモカワイイというか、むしろ大人向けの気もしますが、これがうけるのはわかりますね」
そういえば、そのシリーズ、ジュンク堂書店仙台ロフト店でも見掛けました。実は仙台近辺ではブームになっているのか。こちらの店が仕掛け人(?)。私は知らなかったけど、amazonで見ると13刷となっている。もしかすると、全国的に子供には有名なのかもしれない。
広い売り場で、北島さん的にこだわっているところとしては、
「ちょっと面白そうだな、と思う旅行エッセイを集めて棚を作りました。こちらの本が動くとちょっと嬉しいですね」
そんな北島さん、実は仕掛けて売るのはあまり好きじゃない、とおっしゃる。
「自分で選べるというのがいいと思うんです。だけど、まんべんなく売れ
るものを置くのは、仕掛けるより難しい。お客さんが店に来たとき、2,3冊はほしいと思ってもらえる本を置くように知識を広げていきたいと思う」
ところで、こちら、郊外でバス便というちょっと不便な場所にあるが、それでも営業さんは来てくれるのだそうだ。
「山形(八文字屋書店の本拠地)は遠いけど、仙台なのでまだ来やすいということなのでしょうか。営業さんで風変わりだな、と思う方はパソコン系の版元に多いですね。オタクっぽいというか。版元ではなく、塗り絵とかカルタを卸してくれる問屋の営業の方は子供のマンガにすごく詳しいです。『プリキュア』のこととか、話したりされます。深いものを持っている方のお話は面白いですね。そういう方に気になっていることを質問したりします。でも、2~3年で担当地区が変わるので、寂しいですね」
こちら、仙台アイスリンクの眼と鼻の先。なので、選手やスケート関係者の来店する確率も高い。「銀盤のトレース」はぜひ置いてほしいところ。で、そんな話から、実は北島さん自身もスケートをやっているという事実が発覚した。すごいや、さすが仙台アイスリンクのHPのアクセス地図に名前が載っている書店だけのことはある。といっても、選手経験があるとかではなく、北島さんのお母様が秋田でやっておられて、そちらから靴を戴いたのが始めるきっかけだったとか。なので、はじめたのは最近、北島さんは独学なんだそうである。
「フィギュアスケートは、教則本もなかなか手に入りませんしね」
そうなのだ。実は「銀盤のトレース」を書くにあたって、フィギュアスケートの資料を集めようとしたのだが、意外なほど少ないのに驚いた。あっても、ほとんどが選手の伝記的なもの。練習の仕方とか、筋力の鍛え方といった本はほとんどない。東京のリンクでは、どこでも大人向けの教室を開いているが、地方ではそれもなかなかない。そんな話で盛り上がり、大人スケーター(ともに初心者)同士意気投合して、北島さんは本を仕入れてくださることを約束してくれた。それで、POPを後日、お送りしたのだけど、アイスリンクの関係者は見てくれるかしら。
ところで、北島さんと話が盛り上がりすぎて、結局、アイスリンクの営業時間には間に合いませんでした。なんのため、ここに来たのだか。でも、スケートをする書店員さんに初めて会えたし、楽しかったので、それはそれでよかったか。
受付の人にお話して、見学だけさせていただきました。誰もいないリンクを見て、荒川さんや羽生くんが練習しているイメージを勝手に妄想しまし
た。
それを最後に、実り多い福島・仙台営業を終了。夜の新幹線で帰京した。
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