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はじめに

最新作「銀盤のトレース」の営業のために、何かしよう、という話を編集者としていた。
「名古屋の話だから、まずは名古屋の書店営業ですかねえ」
と私が言うと、
「そうですね。でも、東京の方も周りたいですね。でも、普通のことをやってもつまらないし」
と、編集者。
「だったら、いっそ100軒とか周りましょうか。デビュー作の『辞めない理由』で50軒まわっているから、それくらいはいけると思いますよ」
ついうっかり言ったことに、編集者が食いついた。
「いいですね、ぜひそれで行きましょう」

そんな具合に書店を100軒周ることに決定した。
書店営業。
普通は、作家はあまりやらない。やるとしたら、営業さんから、
「あの書店さんで先生の方をたくさん売ってくださっているので、先生からもお礼を言ってください」
みたいな感じで頼まれ、営業の人と編集の人に連れられて行く。行った書店には本が平積みになっていて、場合によってはその作家のコーナーが作られたりしていて、
「こんなに売って下さって、ありがとうございます」
と、作家もにこにこしながら書店さんにお礼を言う。まあ、そんな形だ。
実際、「辞めない理由」の営業の時にも、そういう形を取らせていただいたお店もあった。版元がパルコ出版だったので、とくにリブロ系列では手厚く扱っていただいた。
だがまあ、無名の新人作家である。そんないい形を取らせていただいたのは、50軒のうち2、3割程度。大半はまったく本を置いていなくて、
「すみません、こういう本が出たのでよろしく」
と挨拶する。それで、書店さんの態度が好意的だったら、
「じゃあ、何冊か入れてもらえませんか?」
と、すかさず注文表を差し出して、注文を取る。そういうやり方だった。飛び込みで入った店もあったし、自分ひとりで周った店もある(これも飛び込み)。

これは、作家自身はあまりやらない。本来は版元の営業さんのお仕事だ。
でもまあ、営業さんも忙しいし、本を売りたいのは作家自身なのだから、営業さんが許してくれるなら(本来、営業の仕事なので、その職分を侵すことになるし、その会社の営業部の方針の邪魔にならないようにしなければならない)、新人の場合はむしろ自分で営業すべきじゃないか、と思っていたのだ。その当時、「さおだけ屋がなぜ潰れないのか?」でブレイクした山田真哉さんが、デビュー作を売るために100軒以上、自力で営業されたことが話題になっていたから、それに影響されたところもある。

それで4年前に50軒周った。だけど、その時と同じことをやってもつまらない。どうせやるんだったら、私なりに乗れる企画を考えたい。それで、思いついたのが、
「書店員に逆取材してそれをブログに載せよう」
ということ。
実は前回書店を50軒周ったときもブログには記録した。だけど、自分の営業報告だけではあまり面白くない。どれも似たりよったりになるし。
だったら、いっそ書店紹介も兼ねてしまえばいいんじゃないか。最終的に書店100軒のカタログみたいになればいい。そうすれば、訪れた書店さんも、一般の読者も、読んでいて面白いんじゃないだろうか。
何より、書店好きな自分が楽しい。思い出にもなる。

そんなわけで、これから100軒、書店を周り、営業しながら取材もします。写真も撮ります。
営業ということを考えれば、2月3月の短期集中。しかも、2月中旬締め切りの原稿を抱えながらの作業になるので、結構たいへんだし、お金も掛かる(基本的に自腹)。
でも、だからこそ、書店訪問を楽しくしたい。楽しい記録にしたい。読んでもらう人に興味を持ってもらいたい。
そんなことを今は思っています。

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