149.紀伊國屋書店 札幌本店
さて、札幌最後の営業は、紀伊國屋書店札幌店。JR札幌駅の前、ちょうど開催していたNHK杯のエキシビションのライブビューイングを横目で見ながら西方向に進んでいく。すると、駅のすぐ脇の道路を隔てた向かい側、ガラス張りのおしゃれな建物に、見慣れた紀伊國屋の青い文字が。
おお、なんておしゃれ。その外観だけでテンションが上がる。
中に入ると、期待を裏切らない、明るく洗練された店内だ。多くの書店に窓はない。本は日に焼けると変色するし、壁一面に本棚を置きたいので、窓があったとしてもつぶして使うのが一般的だ。さすがに日焼けのシェードはかかっているものの、こんな大きな窓の書店は見たことがない。
什器の高さもそれほど高くないので、大きな窓と相まって、ゆったりした空間を感じられる。
そして、内装も素敵だ。店舗の片側の壁面全部が雑誌コーナーになっていて、さまざまな雑誌が面陳されている。その数は全部でどれくらいだろう?その量にも圧倒されるが、壁面とその前の平台がブルーで統一されているのがいい。
天井の白地にブルーの鳥のようなアクセントが飾られているのも楽しい。
レジの裏の窓のところにはアクリルの展示スペースがあるし、真ん中の方の棚は横一列ではなく、ウエーブのようにゆるやかな曲線を作っている。什器も4段ほどの低さで、エンド側はAという文字の横棒がない形のデザインになっている。
2階にはギャラリーもあり、訪れた時はハンドプリントテキスタイルの展示をやっていた。
案内してくださったのは、傳甫雪見さん。素敵なお名前のチャーミングな女性でしたが、テンション上がり過ぎて傳甫さんご自身の写真を撮り忘れてしまいました。残念。
「店の内装は、12年前のオープンの時に海外の建築家に依頼してやってもらったのだそうです」
確かに、遊びごころのある空間の使い方は、日本というより海外の書店を彷彿とさせる。
「ただ、実際に使ってみると、日本では合わない部分もあって、アレンジしているところもありますが」
なるほど、エンド台などあとから足したものだろう、と推測する。それでも、空間の素敵さは損なってはいない。
この店、さぞや女性が多いのでは、と思ったが、オフィス街に近いため、ビジネスマンが多いとか。医学書、専門書がよく売れる。洋書も入れているのが特徴的。最近は児童書コーナーの評判が広がったためかファミリー層も増えているという。
本屋に置いてある本は、どこでも同じ商品だ。しかし、額縁がいいと飾られている絵の印象ががらりとかわるように、この店に置かれている本はそれだけでおしゃれに見える。ゆっくり本を眺めていたい気持ちになる。
時間がないので駆け足での訪問だったが、北海道最後に素敵な書店を見学できて、幸せな気持ちになった。
(2019年11月24日訪問)
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